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バスキュラーアクセス

 血液透析をおこなうためには、専用の血管が必要でバスキュラーアクセスと呼んでいます。

 点滴や採血などで針を刺す血管では多くの血液をとりだすことは難しいため、血液透析をおこなうためにはバスキュラーアクセスが必要です。

 バスキュラーアクセスには、①動脈と静脈を吻合する自己血管内シャント(AVF)、②動静脈の間に人工血管を使う人工血管内シャント(AVG)、③専用のカテーテル、④動脈表在化があります。

 当院でのバスキュラーアクセス手術はすべて日帰りでおこなっています。

 手術が終わったあと1-2時間でご帰宅できます。手術はもちろん、術後や休診日もしっかりバックアップする体制をとっています。休診日や夜間は医師直通電話やメールで対応いたします。

 

自己血管内シャント(AVF)

 動脈と静脈とを吻合し動脈血を静脈に流し血流量を得るもっとも一般的な方法で、国内では約90%の患者さんがこのAVFで血液透析をおこなっています。一般的には利き腕ではない手首近くの親指寄りの血管で作ります。血管の状態によっては利き腕の側や小指寄り、前腕中央、肘近くに作製することもあります。

  • ​​ 手術について:局所麻酔で行います。ご希望によって全身麻酔を併用することもあります。数センチメートルの皮膚を切開し、動脈と静脈をつなぎあわせ閉じます。手術時間は30分〜1時間程度です。手術後血管は血流が増えることで徐々に太くなり、1週間から2週間で血液透析をするための針が刺せるようになります。手術により生じうる合併症としては、①出血、②感染、③神経障害などが考えられます。

  • 手術後の注意点:血流を妨げることのないようにしていただきます。手術した側の腕を締め付けないよう腕時計やブレスレットを外します。腕まくりも避けてください。日常においては 内シャント側の手の運動をするように心がけていただきます。運動によって血流が増加し静脈が発達します。ゴムボールの握りを繰り返すなど、握力を鍛えるようにしましょう。血管の上を触れたり、シャントの吻合部付近を耳にあてたりすると、“シャンシャン”といった血流を感じます。これは血液がしっかり流れているサインですので、ときどきチェックするように心がけましょう。もしもこの血流を感じなくなったり、血管が急に硬くなった場合は血管が閉塞している可能性があります。血管内治療、血栓除去術、内シャント再建術などが必要ですのでご連絡ください。

人工血管内シャント(AVG)

​ ご自分の血管で血液透析に適した内シャントを作ることが出来ない場合におこないます。人工血管を動脈と静脈の間につなぎ、皮膚の下に埋め込む手術で、国内では7-8%の患者さんがこのAVGで血液透析をおこなっています。

  • 手術について:腕神経ブロック(鎖骨の近くにある腕神経叢に麻酔の注射をして痛みを取る方法)と局所麻酔で行っています。おひとりおひとりの血管の状態に応じてデザインし上肢の前腕部分や上腕に作製いたします。手術時間は1時間半〜2時間程度です。

  • 人工血管について:ePTFE、polyurethane (PU)、polyolefin-elastomer-poluester (PEP)の3種類があります。当院ではゴア®アキュシールバスキュラーグラフトを使用いたします。これは2016年から使用出来るようになった最新の人工血管で、ヘパリンコーティングされたePTFEグラフト内層と外層の間に低出血層を設けた三層構造をしています。そのため手術した次の日から穿刺でき、むくみも少ないといった特徴があります。

  • 手術後の注意点はAVFの項をご参照ください。

カテーテル

 首や足の付け根から太い血管に留置する管で、AVFやAVGが使用できない場合にこのカテーテルから血液をとりだし透析をおこないます。一時的に留置するものと長期間使用できるものがあります。

動脈表在化

 上腕動脈や大腿動脈を皮下直下に表在化する方法で、透析用の針を刺しやすくするためにおこないます。AVFやAVGを作製できない患者さんに限りおこないます。

 

 

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